Category Archives: B_ボリカムサイでのくらし

穏やかな時間

帰国まであと48日。

物事が穏やかに進み、前向きになった気がする。
それは自分自身がそうなったから、そう感じるのかな。

何かの焦り、不安、孤独がつきまとっていた日々が続いていたけど、
周りのラオスの人びととの関係、自身の活動、隊員仲間との関係、それらが今はとても、穏やかだ。

職場まで通う道で見かける商店や市場の風景、乾季のきれいな広くて青い空、大家さんと托鉢へ行く穏やかな時間、そこで聞く美しい音色のような読経、職場の人たちとのなにげない会話、生産者さんとのテレビ電話。

すべてが愛おしくて、大好きな瞬間になった。

2年はとても長い。刺激はなくなり、すべてが「当たり前」になる。
この日常は永遠に続くような気がする。

でも、そんなことはなかった。
あと48回眠りにつくと、終わってしまうのだ。

ハンディクラフトフェスティバルが終わり、少し失速していたけど、あと1ヶ月半、最後の活動をがんばろう。

カムクード郡でのODOP認証式、一番一緒に頑張ってきた生産者さんうあいチャップへの販路開拓フォロー、製品開発フォロー、ターパバート郡とパッカディン郡での製品開発フォロー、子ども文化センターでの染色体験のイベント。それから隊員誌づくり。

帰国がいよいよ現実になってきて、帰国後のことを少しずつ本気で考え始めた。
選択肢は無限大。

まずはアルバイトかなあと思って探すけど、それすらも、決められない。

でも今はまず、目の前にあることを楽しみ尽くそう。

ラオスの人びととの時間を、最後までたくさん味わおう。

過ぎていく毎日を身体で感じる。

職場ではたまに勤務時間後にキンビア(飲み会)がある。

今日も労働組合関係の会議があったとかで、キンビアの日だった。
私はその会議には出ずに別の仕事をしていて、18時ごろ職場に戻ってキンビアに参加した。

キンビアの時にはペタングという鉄の玉を投げるスポーツ(飲み会ゲームに近い)を併せてやるのだが、今日も例に漏れずペタングが行われていた。

私は隅の方でビールを飲みながら、インターンの学生や同じく隅で飲んでいた職員と話をしながら、ペタングで盛り上がる同僚たちの様子を見ていた。

こんなふうに、何度もキンビアをしてきた。

今でこそ隅でひっそりとしているけど、赴任したばかりの頃はみんなの輪に入ろうとビールを積極的に飲み、注ぎ、ペタングに参加したりもしていた。同僚とのそんな時間は楽しかった。

そんな日常が、もう少しで終わるんだと考えていたら、急にさみしい気持ちになった。

普段はこの街で孤独とか寂しい気持ちを感じることの方が圧倒的に多いけど、みんな適度な距離感で私を受け入れてくれている。キンビアに参加しなくても特に何も言わないし、行けば喜んでお酒を注いでくれる。ここで私は確実に2年間、生きてきたんだ。

こんな日常も、ここにいる人たちにとってはこれからまた何年も続いていくうちの一回でしかない。でも私にとっては、2年間という限られたうちの、限られた瞬間なのだ。

なんだかそんなふうに感傷的になってしまい、涙が溢れてきた。

「どうした?日本が恋しいの?」と近くで飲んでいた同僚に聞かれたから、そういうことにしておいた。本当は逆なんだけどね。

たぶん思い出すのって、こういう何気ない日常の一瞬なんだろうなって思うから、そんな瞬間すら過ぎ去ってしまうのはとてもさみしい。

あと何回こうやってキンビアできるだろうか。1回、2回…しかないかもしれない。

いつもいつもその時の瞬間を味わって過ごせるほど心の余裕はないけれど、でもこうやって感じた時にこうやって書き留めておこうと思った。

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最近隊員仲間に借りた、カンボジアで織物を復興させ、IKTTを創設した森本喜久男さんの著書『自由に生きていいんだよ』で今の自分に響く言葉があった。

旅やボランティアなどの新しい世界を見ることを「意味のあるものにするには」という問いに対して、

身体で感じること。五感でね。自分の感性で出会ったものとちゃんと向き合うこと、自分をそこで育んでいくこと。

表面の言葉だけの世界でおわるか、言葉の裏にあるもっとほんとの原理、そこまでも感じることができるかどうかだと思う。そこで「五感」を働かせることが大事なんだ。

いま見ているもの、日々直面すること。ぼーっとしていたら過ぎ去ってしまう。もっと五感で感じよう、向き合おう。私はラオスで何をして、何を考えてきたのか。何を学んだのか。

過ぎてしまう前に、身体中で感じようと思った。

 

明日からコミュニティ開発隊員にとって、1年で一番大きなイベント、ハンディクラフトフェスティバルへの出展のために2週間ほど首都に滞在する。

活動の大きなクライマックスになると思う。これまでやってきたこと、存分に出せるイベントにしたい。

そこで感じたことをまた持ち帰って、残りの任期で自分にできることを見つけてきたい。

生産者研修への道のり

雨が長らく続いていた日々から、ようやく青い空が広がる日が増えてきた。

 

そしてようやく、生産者への研修を実施するための予算の承認が仮だけども、下りた。

長かった。

私が1年8ヶ月活動してきて、生産者と関わり、製品の改善を試みることを繰り返してきたが、やっぱり足りないのはアイディアと技術だった。

そして生産者がいる村は遠く、なかなか行けないので、製品のアイディアがあっても、それを細かく修正しながら一緒に作っていくことが難しかった。

そこで一回大きな研修会を開きたいと考えていた。

私の役割はつなぐこと。そして場を作ること。

専門的な技術を持つ人と生産者さんをつなぎたかった。
その形の一つが、生産者への研修だった。

しかし研修を実施するには多くの予算がかかる。会場費、講師代、移動費、宿泊費、食費etc…

ラオスでは主催者が研修の参加者に諸費用をすべて支援するという慣習もあり、かなりの費用がかかってしまう。

そして私の配属先は基本的に予算がないので、JICAの現地業務費を使わせてもらうしかなかった。

しかしそれなりに費用がかかるとなると厳しく見られる。

目的、内容、費用対効果、今後の展望、今の生産者の現状に対しどのようにアプローチができるのか、それは正しい方法なのか。

厳しく、いろいろなことを聞かれた。

でもどうしてもやりたかった。これをやらないと私は帰れないと思った。

配属先、JICA、生産者、講師、会場と、多くの関係者に調整をお願いした。

途中で計画もいろいろと変わり、日程も場所もなかなか確定できず、あらゆる想定をしながら進めてきた。

その過程は決して楽ではなかった。(まだ、終わってないけど)

でも、ようやく一歩前進だ。

あとは実施に向けて進めていくのみ。

一番嬉しかったのは、この研修準備を進めてくる中で、配属先を少しずつ巻き込めたことだ。

いつも活動は自分主体になってしまっていた。もうそれでいいやとも思っていた。でも少しずつ配属先の人を頼るようにしたら、協力してくれるようになった。自分から提案してくれるようになった。これが一番嬉しい効果だったかもしれない。

研修終了時に修了書を出したらとJICAにアドバイスをもらったのだが、作ったことはもちろんなく、課長に相談したら、別の同僚に依頼してすぐにドラフトを作ってくれた。

会場との連絡や、生産者さんへの連絡も副課長が積極的にやってくれた。

研修の直接的な成果だけでなく、こうやって過程の中で予想外の変化があることは、また別の、活動上の大きな成果にも感じる。

 

まだ準備するべきことはたくさんあるけど、がんばるぞー!

 

夕方、普段行かない方の大きな市場に行ったら、すごく賑わってた。果物が落ちていく太陽に照らされててなんだか綺麗だった。

 

そういえば今日は家の中に大きなムカデが現れてびっくりしたなあ…。

それから昼間に食べきれなかったカオパッド(チャーハン)を持ち帰ってごま油で炒め直したら日本っぽい美味しい味になったのは、大きな発見。

9.10 ミシンさがし

 

雨季であるこの時期でも、今朝はもっぱら空が暗かった。灰色の雲が空をおおっていた。

さて、生産者研修を任地でやることになり、任地で新たに場所をさがしている。
今朝は仕事へ行く前に、青年同盟へと向かった。

青年同盟は、党の大衆組織の一つで、役割の一つとして若者向けにさまざまな職業訓練を実施している。県によるが英語、PC、縫製、美容コースなどがある。ビエンチャンやルアンパバーンの青年同盟にはJOCVも派遣されている。

今日は任地のボリカムサイ県青年同盟の事務所に行ってみた。

以前聞いたところ、15年ほど前まで(ずいぶん前だけど…)縫製コースがあったらしく、ミシンはあるとのことだった。

まずミシンがある部屋に行くまでに、草刈りがされていない道を歩き、挙げ句の果てその部屋の鍵がないとのことで、金槌で鍵を壊すこととなった。そこまでしてもらってなんだか申し訳ない気持ちになった。

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そして見せてもらったのだが、10台ほどあるミシンはホコリをかぶり、長い間眠っていた様子だった。ここで実施するには下準備が必要そうだなと思った。

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ミシン部屋を見せてもらったあとは、青年同盟の職員カムカイさん(30代男性)とオフィスで少し話をした。

青年同盟にはドイツ人ボランティアがいるので、彼女たちを通して彼とも顔見知りではあったが、ゆっくり話すのは先日ドイツ人の子を交えた食事会以来2回目だ。

彼が教えるPC教室も見せてくれた。PCは決して最新のものではないけれど、きちんと整備されているのがわかった。

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彼が英語コースもPCコースも担当しているらしく、PCを教えてくれるJICAボランティアがほしく、要請書を出したそうだ。

そうやって協力隊の要請がつくられていくわけだが、すべての要請が募集されるわけではない。少なくともボリカムサイの青年同盟の募集は見たことがない。

けれどそんな話を聞いて、協力隊が派遣されてほしいなと思った。今度、JICAに話してみよう。

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ひさしぶりに身体を動かしたくて、今日はヨガに行こうと思ったけど、雨が降ってきちゃったので行けなそう。なのでこうして家でゆっくりしながら文章を書いている。

隣に住んでいる大家さんはたまに(月に1-2回くらい)ご飯を持ってきてくれるのだけど、今日久しぶりにくれた。フー、味つけがしっかりしていてでも辛くなくてやさしい味で美味しかった。

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最近は8th May Recordsの音楽を聴いている。向田麻衣さんが表現する世界が好き。
柔らかいピアノの音と、心から湧き出ているような、ありのままの声と言葉がとても心地よい。

色んなことに翻弄されかけて、心に蓋をしてしまっていたけど、私も少しずつまた自分を解放してゆこうと決めた。
そんな感情を言葉と写真にして表現しながら、自分の心と向き合っていきたい。

今外は、強い雨が降っている。雨の音をききながら、一人で部屋の中で過ごすのも、けっこう好きになった。

 

 

Na Village

ビエンチャンへ行く途中にある、竹細工をして暮らす人びとの村の風景。
優しくてあたたかい空気が流れる村。

 

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生産グループのリーダーであるポー(お父さんという意味の呼び名)が、編み方を教えてくれました。

 

IMG_8191.JPGちょっとトライしたけど難しい。でも楽しい。

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ホームステイをしたら、たくさんの美味しいご飯を出してくれました。
トムカイ(煮た鶏)は絶品!

 

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IMG_8224.JPGポーはなんでも知ってる♪